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山形美術館

美術館概要 > 沿革・常設展示

沿革

山形美術館

山形美術館は、当時の山形新聞・山形放送社長服部敬雄が中心となって財団法人を設立し 、1964年8月に開館しました。山形における美術館建設は、終戦直後の山形県美術家協会発足以来の念願であり、用地や組織について検討を重ねた結果、民間主導で県と市が全面的に協力する財団法人による運営となりました。「公立美術館より一段と幅広い県民の美術館」という理念のもと、開館を迎えることができたのです。

1968年には別館を開設。その後開館20周年記念事業として新館建設着工、地域性と近代様式をマッチさせた多層民家風の3階建て新館が1985年8月10日オープンしました。翌年10月には別館を改修。延べ床面積6,400平方メートル、8つの展示室(2,100平方メートル)を有する現在の姿となりました。

以来、日本および東洋美術、郷土関係美術に新たにフランス美術を加えた3つの柱を中心に調査・研究ならびに作品収集にあたり、収蔵品と常設展示の充実を図っています。また、さまざまな分野の企画展、巡回展、個人や団体による展示施設貸与事業などを開催実施。山形県の美術文化振興と県民の生涯学習の一翼を担うべく開かれた美術館活動を行っています。2011年4月に公益財団法人に移行、2014年には開館50周年を迎え、ますます美術館としての役割が期待されています。

常設展示

長谷川コレクション−江戸から明治にかけての日本美術

1968(昭和43)年、別館の竣工に合わせ、山形銀行の長谷川吉郎元会長より、重要文化財の与謝蕪村(1716-1783)「奥の細道図屏風」を含む、同家歴代が収集した美術品163点が寄贈された。また1995(平成7)年、現在の当主長谷川吉茂氏より以下に記載する7点の県指定有形文化財を含む48点の寄贈を受けた。1994年(平成6)年には、殖産銀行の元会長長谷川吉内氏の遺志を受けたご子息の長谷川憲治氏より81点の美術品が贈られた。2つの長谷川家からなる当コレクションは、江戸時代の狩野派、文人画、円山四条派を系統的にたどることのできる内容となっている。

松尾芭蕉(1644-1694)「出羽三山短冊」、 熊代熊斐(1693-1772)「松鷲梅孔雀図屏風」、谷文晁(1763-1840)「熊野舟行図」、田能村竹田(1777-1835)「浅絳山水図」、横山華山(1784-1837)「紅花屏風」、渡辺崋山(1793-1841)「溪澗野雉図」、川合玉堂(1873-1957)「細雨」(以上、県指定有形文化財)

新海竹太郎・新海竹蔵の彫刻

山形市出身で近代彫刻の先駆者の一人として文展・帝展で重きをなし、帝室技芸員、帝国美術院会員となった新海竹太郎(1868-1927)と、その甥で日本美術院同人のちに国画会会員として清新な作風を展開した新海竹蔵(1897-1968)の作品を展示している。1907年の第1回文展に審査員として出品し新海竹太郎の代表作となった「ゆあみ」(ブロンズ 東京国立近代美術館所蔵の石膏原型は重要文化財)をはじめ両者の足跡が概観できる。

吉野石膏コレクション-珠玉のフランス近代絵画

1991年、吉野石膏株式会社(本社、東京・丸の内)より、同社が収集してきた印象派を中心とするフランス近代絵画が寄託された。その後も追加寄託が続き、ジャン=フランソワ・ミレー(1814-1875) 、カミーユ・ピサロ(1830-1903) 、エドゥワール・マネ(1832-1883)、エドガー・ドガ(1834-1917) 、アルフレッド・シスレー(1839-1899) 、ポール・セザンヌ(1839-1906)、クロード・モネ(1840-1926)、ピエール=オーギュスト・ルノワール(1841-1919) 、アンリ・マティス(1869-1954)、モーリス・ド・ヴラマンク(1876-1958)、ピカソ、ジョルジュ・ブラック(1882-1963)、エコール・ド・パリのシャガール、ヴァシリー・カンディンスキー(1866-1944)など、バルビゾン派、印象派、フォーヴィスム、キュビスム、抽象絵画、エコール・ド・パリの作家による国内有数の良質な作品群として認知されている。吉野石膏株式会社は2008年に吉野石膏美術振興財団を設立(2011年公益財団法人に移行)。現在は吉野石膏ホールディングス株式会社および吉野石膏美術振興財団が所有するフランス近代絵画およそ百数十点の寄託を受け一部を常設展示として公開している。

服部コレクション-20世紀フランス絵画

1985年の新館開館を機に、20世紀フランス絵画の系統的収集と常設展示の方針が打ち出された。ジョルジュ・ルオー(1871-1958) 、パブロ・ピカソ(1881-1973) 、マルク・シャガール(1887-1985)らの作品を購入するとともに、パリ画壇で活躍する現代作家50名の選定を故ピエール・マザール(ル・フィガロ誌美術記者)に依頼、各作家1点ずつの収集を行った。モーリス・ブリアンション(1899-1979) 、ポール・アイズピリ(1919-2016) 、ベルナール・ビュッフェ(1928-1999) 、ジャン・ピエール・カシニョール(1935-) 、アントニー・クラーベ(1913-2005) など日本でも親しまれている作家が含まれており、具象を中心とした戦後のパリ画壇を概観することができる。現在当館では、1991年亡くなった服部敬雄理事長兼館長(当時)の業績を讃え、フランス絵画60点とロダン、マイヨール、ブールデルの彫刻4点を服部コレクションと名づけ1階ロビーを巨匠の広場としてコレクションの一部を展示している。