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山形美術館基本運営方針
Ⅰ 基本的な考え方
- 1 基本コンセプト
山形県民の文化の向上を推進する「公立美術館より一段と幅広い県民の美術館」 - 2 山形美術館の目指す姿
- (1)山形らしいアイデンティティを形成し、地域への愛着と誇りを醸成する美術館
山形所縁の美術、日本・東洋美術及びフランス近代美術を三本柱として収集保存、企画展示、調査研究を行う。 - (2)美術を通して活き活きとした県民生活を実現する美術館
魅力ある展覧会の開催を通して、県民に感動・安らぎ・歓びを提供する。 - (3)美術を通して人づくりを支援する美術館
来館する人たちに鑑賞学習機会を提供し、人間性・創造力・感性の育成を促進する。また、地域の多様な創作活動の発表の場として展示施設を提供することにより自己実現の機会を創出していく。 - (4)美術を通して人と人を結び、地域を元気にする美術館
優れた美術作品の展示等を通して文化の多様性を広げ、県内外の交流と振興を促進する。
- (1)山形らしいアイデンティティを形成し、地域への愛着と誇りを醸成する美術館
Ⅱ 活動方針
- 1 収集
- コレクションは美術館の中核をなすものであり、郷土関係美術、日本・東洋美術及びフランス近代美術を三本柱としていく。
- コレクションについては、寄贈者、寄託者など関係者と十分に調整を行いながら、その維持・発展に努めていく。また、郷土関係美術については、引き続き調査研究を進めながら、コレクションの充実を図る。
- 作品の収集は、購入と寄贈・寄託により行う。購入は、財源状況を見極めつつ慎重に対応する。寄贈・寄託は、当館コレクションの充実の視点から厳選し受け入れることとする。
- 2 保存
- 県民の財産でもある美術作品については、展示室や収蔵庫の温湿度など適切な管理に努める。また、収蔵スペースの確保については、引き続き検討していく。
- 美術作品の修理・修復については、財源の確保状況も踏まえ、展示頻度や指定の有無などを考慮し優先度を検討し対応していく。
- 所蔵する美術作品や資料について、継続的な情報収集・整理に努める。また、収蔵作品等のデータベースの構築を進め、適正管理及び検索利便性の向上を図る。
- 3 展示
- (1)収蔵品展
- 山形美術館のコレクションは、全国的にも高い水準のものであり、国内外から評価されている。来館者のリピートを促すという視点も考慮し、引き続きテーマを設定した作品展示を行う。
- 県関係作家を積極的に取り上げ、県民を中心に本県の美術に対する理解促進を図る
- (2)企画展
- 美術を通して県民に感動・安らぎ・歓びを提供するということを大切にしながら魅力ある展覧会を企画開催し、県民の鑑賞機会の提供に努めるとともに、収入の確保に努める。
- 山形県総合美術展覧会(山形県こども絵画展覧会を含む。)、山形県総合書道展、山形県写真展の3公募展については、出品者の確保に努めつつ県民の創作活動の成果発表の場として開催していく
- (3)その他
- 来館者目線に立った展示に努めるとともに、外国人来館者のニーズに応えるため多言語に対応した取組みを進める。
- (1)収蔵品展
- 4 施設貸与
- 山形美術館では県内団体・個人等が主催する展覧会が毎年20件程度開催されている。今後とも、県民の創作活動の発表の場として展示施設を貸与することにより、県民の自己実現の機会を創出していく。
- 5 教育普及
- 美術鑑賞は人間性・創造力・感性の育成に資することから、様々な機会をとらえ、美術ファンにとどまらず幅広い県民に対する教育普及活動に取り組んでいく。
- 美術鑑賞は、探究型学習の面からも効果があることから、児童・生徒の受け入れや教員の研修など学校教育との積極的な連携を図る。併せて、土曜日の小中生入館料無料のさらなる周知を図るなど、子供たちの来館を促進する。
- 県内大学等との連携を図りながらキャンパスメンバーズ制度を継続し、大学生等の来館を促進する。また、大学生の博物館実習や各種教育研修活動の受入れ、支援を行う。
- 展示内容に沿った講演会や関連イベントなどを開催し、展覧会の活性化と県民の美術への関心を高めていく。
- 6 調査研究
- 本県の中核的美術館として、作家調査やコレクションの調査研究を充実させるとともに、展覧会、図録発行や教育普及活動を通して、その成果を地域に還元していく。
- 県内大学との連携や研修機会の充実などにより学芸員の資質向上を図る。
- 7 情報発信・連携
- ホームページやSNS等を活用するとともに、マスメディアとの連携を図りながら適時適切な情報発信に努める。
- 山形県内の中核的美術館として、学術・観光振興・防災など様々な分野において県内博物館等との連携を進める。
- 公立図書館や大学等との連携を図り、展示内容と関連した企画・イベントの開催を促進する。
- 山形美術館の収蔵品の魅力を発信し、他館からの貸出要望がある場合には積極的に対応していく。
- 山形美術館は、日本遺産「山寺と紅花」の構成文化財である長谷川コレクションなど全国的な美術作品を有しており、観光業界や行政と連携した情報発信に努め、観光拠点の一つとして地域活性化に貢献していく。
- 8 環境・施設の整備
- 現美術館は1985(昭和60)年の建築であり老朽化が進んでいることを踏まえ、日常及び定期点検を行い適切な施設の維持管理に努める。また、空調設備、照明設備等大規模な対応が必要なものについては、美術館としての役割を適切に果たせるよう、関係団体とも協議しながら慎重に検討を進める。旧館は1968(昭和43)年の建築であることから、展示施設としては使用しないこととする。
- 高齢者、子ども連れ、障がい者などの来館者にも配慮した環境整備を進める。
- 美術館をゆっくり楽しめるよう喫茶機能を提供するとともに、美術館グッズ販売の充実を図る。また、キャッシュレス決済の導入などデジタル化への対応を進める。
- 山形市が管理する美術館前スクエア(都市公園部分)については、本美術館へのアプローチとして適切に維持・整備がなされるよう連携を図る。
- 9 安定的で健全な運営
- 運営基盤の中核をなす山形新聞・山形放送からの寄付金、山形県負担金、山形市補助金及び山形県生涯学習文化財団助成金については、今後ともしっかり確保されるよう各団体と密に連携していく。
- 山形美術館維持会の法人・個人会員の維持拡大を図る。
- 国や美術関係団体からの補助金や民間企業等からの協賛金など外部資金の活用を検討する。
- 業務の効率化を進め、経費節減や職員の負担軽減を図る。
- 10 その他
- この基本運営方針は、事務所に備え置くほか、インターネットにより公表する。